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心療内科Q&A

※Q&Aは、想定した事例です。Q&Aや疾患についてのご質問、病院の紹介等は、受け付けておりませんのでご了承下さい。

※「質問」をクリックすると「答え」が表示されます。

新しい上司は、前の上司と違って業績重視型で、職場の雰囲気が180度変わりました。2ヶ月程経った頃から、37度4分ぐらいの熱が続いています。平熱は36度2分です。仕事を休む程ではないのですが、倦怠感が続いていて仕事にも支障が出そうで心配です。どうしたらいいでしょうか?

微熱と倦怠感が続き仕事にも支障が出そうな状況のようですので医療機関にかかることが必要だと思います。年齢、性別などの情報がありませんので、何科に受診するのが最適か判断困難ですが、まずはかかりつけの内科でよろしいかと思います。

そこで、症状を起こしうる感染症などの病気がないかの診断を受けましょう。微熱、倦怠感を引き起こす体の病気は少なくありませんが、診察(問診・身体診察)と必要に応じて最小限の血液検査(炎症反応、白血球数など)やレントゲン検査などで多くは診断がつきます。

例えば、結核、甲状腺の病気、関節リウマチなどが見つかれば、適切な治療が必要となるでしょう。ご質問では、職場の雰囲気が全く変わって2カ月程度で体調不良を感じるようになったので、その環境の変化が症状に関係しているのではないかと心配されているようにも読めます。

もちろん、職場での環境変化という社会的要因が微熱、倦怠感を引き起こすことは考えられます。一般的な診察・検査で体の異常がなく問題なしと判断された場合、あるいは解熱剤での対処のみの治療が続き改善がみられない場合などは、一度、心療内科を受診して下さい。

職場でのストレスと体の反応(発熱)について関係が深いかどうかの判断や、自律神経のバランス不全による症状が考えられるかの診断をつけることができるのが心療内科です。また、うつ病・うつ状態による症状と考えられる場合も適切な治療法を提案できるのも心療内科の強みだと思います。

このように、症状に対して心身両面からの診断と治療をするのが心療内科の特徴とも言えます。

(金子 宏)

仕事でミスをして、上司と取引先に急ぎ出向き、謝っているうちに急に、息ができなくなり、このまま死んでしまうのではないかという恐怖が襲ってきました。その場は上司が対応してくれて事なきを得ましたが、あの苦しさのことを考えると仕事に集中できません。検査などを受けた方がいいでしょうか?

急に息ができない感じになり、「死んでしまうのではないか」という恐怖が襲ってきたのですね。その場は何とかしのぐことができ、その後も強い症状はないようです。調べても大きな病気はない可能性が高いでしょうが、その点を確かめる意味で、念のため医療機関を受診してもいいでしょう。異常がなければ、「過換気症候群」という機能的な病気といわれるかもしれません。

この病気では、ほかに大きな病気がないのに、息が苦しくなる発作がみられ、そのときには頻回で深い呼吸が認められます。それで過換気=「換気のし過ぎ」になり、二酸化炭素が抜けて血液がアルカリ性になるのです。元に戻るのですが、一過性の血管収縮や神経系の障害が起こり、めまい感、指先や口周囲のしびれ感、動悸や腹部不調などの症状が出現します。この病気は若年者や女性に多く、男女比は1対2といわれています。

発作は、不安・緊張や興奮、肉体的疲労や呼吸が荒くなる運動などが引き金になります。アルコールやカフェインの過剰摂取でも起こることがあり、女性では月経と関連があることがあります。今回の「仕事でミスをして、上司と取引先に急ぎ出向き、謝っているとき」というのは、不安・緊張場面に相当するでしょう。

この発作は「死んでしまうのではないか」という恐怖を伴うので、頻回に発作を繰り返したり、一回でも強い発作を起こしたりすれば、「また発作が起きるのではないか」という予期不安を持つようになります。今回「あの苦しさのことを考えると仕事に集中できない」というのも、そのためかもしれません。

これに対しては、病気の本体をよく知り、発作は苦しいが死につながるものではなく、また短時間でおさまることをよく納得する必要があります。万一発作が起きた場合でも、呼吸をゆっくりするようにし、自分に「大丈夫」と言い聞かすと、自然におさまります。

発作を繰り返したり、不安が長引いたり、外出恐怖や乗り物恐怖が合併したりする場合には、医療機関(心療内科が適切でしょう)を受診するとよいでしょう。

(江花 昭一)

発達障害を疑われている息子です。知らない人に会うときや、初めての場所に行った後に、必ず身体が動かないと言って布団から出られなくなります。本人は、理由がわからないと言います。何かいい薬などはないでしょうか?

息子さんの場合、体が動かない、布団から出られない状況は、新しい場面に対する緊張や不安によるものと考えられます。ご本人は理由がわからないようですが、新しい場面では、人や場の状況を読み取り、見通しを立てて適切に行動する事が求められます。新しい場面で当惑する事がどのようなことだったのか、家庭や学校や友人関係での変化、問題となる行動の引き金や、問題行動の増減などの心理社会的背景も含めた観察が必要です。ところで慣れた場面ではうまく行動できているようです。これまでの家庭や学校での生活で、息子さんなりに緊張や不安に対処できるようになって慣れてきたプロセスを振り返り、息子さんの安定に役立った対処法に加えて新たに必要な対処法を身につけることで緊張や不安は軽くなると考えられます。

発達障害のある子どものさまざまな問題についての基本的な対応は、薬物療法というより、理解あるかかわりと環境整備や生活指導が中心となります。子どもの持つ能力を伸ばし、自分で問題に対処出来るようになるために、社会技能やコミュニケーション技能の訓練などの心理教育的なかかわりが重要です。しかし攻撃性、多動性、執着、常同行動、強迫行為、不安やイライラやうつなどが認められ、家庭や学校での適応に問題がある場合、自己や他者に身体的危険が及ぶ可能性が高い場合、そして本人も辛い場合には、行動上の問題を抑制、緩和し、子どもの心を安定させるために副作用に注意しながら薬による治療を併用することがあります。しかし子どもの状態によって薬物の種類や効き方は異なります。また心理教育的な介入も子どもの状況に合わせて導入の時期や内容を考慮する必要があります。

小児を診ている心療内科では子どもさんの問題や症状を心身両面から理解して、身体症状に対する治療を始めとして、子どもさんやご家族と相談しながら適切な心理教育的な治療や薬物療法を進めて行きます。一度受診されて、困ったことや問題点について十分に相談されることをお勧めします。

(荒木 登茂子)

仕事をなかなか人には任すことができず、全部自分でしないと気が済まない性分です。しかし、風邪をこじらせてから、頭重感がとれず、仕事に集中できません。さらに、下痢と便秘が繰り返されています。市販の頭痛薬や整腸剤を服用していますがなかなか良くなりません。どうしたらいいでしょうか?

(年齢,性別が不詳なので回答が困難ですが,一般的な対応について述べます)。

風邪をこじらせ頭重感などの身体症状が市販薬ではなかなか良くならないとのことですが,まずきちんとした診療を受けるため内科を受診して下さい。微熱や咽頭痛,咳,痰などの症状が長引いていれば,咽頭炎・気管支炎などの上気道の呼吸器系感染症やその他の病気について精査し,早目の適切な治療が必要です。場合によっては抗生物質などの服用も必要かもしれません。

また長引く頭重感も単に風邪のこじれによるものなのか,あるいは高血圧や脳の血流不全,糖尿病,肝臓・腎臓などに異常が潜んでいるためなのかの鑑別診断 (かんべつしんだん)が大切です。下痢や便秘についても同様に,何らかの胃や腸などの異常はないのかを,きちんと内科的あるいは外科的に診察してもらってください。日頃から貧血,体力低下のある人や糖尿病,メタボ,あるいは高血圧や動脈硬化,その他内蔵の病気や喘息,免疫不全,癌などの基礎疾患をもっている方とか,とりわけ高齢者には,身体医学的な診断治療が第一に必要です。

一応,身体的には問題ないのに、問い合わせのような症状があらわれている方では,心療内科的診療が必要となります。一応,頭重感,下痢便秘,仕事に集中困難が長引き,睡眠障害や食欲不振,だるさ,気分不良,意欲減退や億劫,大儀,面倒くさいなどがみられるようならば,身体的疲労の蓄積だけではなく脳が疲れていることが考えられます。脳の疲れが心身の症状としてあらわれる心気症や身体表現性障害などのストレス関連疾患や,軽いうつ状態 (うつ病性障害) なども考えられますので,心療内科的に診断してもらい,その場合には,適切な薬物療法や心理療法を受ける必要があります。

なかなか仕事を他人に任すことが出来ず,全部自分でしないと気がすまない性分は,真面目で責任感旺盛とはいえ,過剰適応の結果,心身の疲労とストレスを抱え込み蓄積させるおそれがあり,対処方法をこのあたりで考える必要があります。自分の性格や行動を少しでも改善するには,認知行動療法などの心理療法があります。また,ストレス解消には自律訓練法なども有効ですので,心療内科医に相談してみて下さい。

(石津 宏)

年度末で、仕事が多忙な日が続いたある日、いつものように電車に乗っていると急に不安に襲われ、電車を降りてしまいました。その日は、会社を休みました。それ以降、電車に乗るのが怖くて会社に行けません。どうしたら良いでしょうか?

お近くの心療内科のある医療機関への受診をお勧めします。不安発作に伴って出現した広場恐怖症である可能性が高いからです。電車に乗っているときに急に不安に襲われたことは、専門用語で「不安発作」と言います。肉体的な疲労や精神的なストレスがたまっているときに出現しやすいと言われています。

一般的に一度でも不安発作が起きると、また不安発作が起きてしまうのではないかという不安(予期不安)が生じやすくなります。特に過去に不安発作が起きたときと似た状況下では、予期不安が強くなり、似たような状況が怖くなったり、そういった状況を避けるようになったりします。

このような状態のことを専門用語で「広場恐怖症」と言います。不安発作に関しては、抗不安薬などによる薬物療法により、起きてしまった発作の症状を改善することもできますし、発作自体の予防も可能です。広場恐怖症に関しては、認知行動療法的なアプローチ(エクスポージャー法;薬物療法等により不安発作が十分に予防できている状態で、あえて段階的に苦手な状況にさらされることを練習していくという治療法)で治療が可能です。

また、甲状腺機能亢進症などの身体(からだ)の病気が隠れている場合や、うつ病などの別の心の病気が隠れている場合もあり、その場合は、それらの治療も必要になります。心療内科では、血液検査などの検査を受けることで、身体の病気の有無を確認することができますし、問診などを通して、心の病気の合併の有無を確認することもできます。

不安発作自体が命にかかわることはありませんし、十分に休養がとれれば、それだけで不安発作は起きにくくなることが多いです。しかし、このまま放置をして、不安発作を繰り返してしまうと、電車に乗ることだけではなく、家から外出すること自体も怖くなり、さらに日常生活に支障をきたしてしまうことにもなりかねません。

現時点で心療内科を受診してみてはいかがでしょうか?

(大谷 真)

48歳の男性です。手のひらや足の裏が熱くなり、夜も眠れないときがありますが、人間ドックの結果では異常がないとのことです。何が原因でしょうか? 治療法や改善方法があったら教えてほしいと訴えています。

男性更年期障害もしくはFSSと考えられます。

女性の更年期 (menopausal transition) は生殖期から非生殖期への移行時期であり、年齢では45歳~55歳ごろに該当します1。この時期には発汗やほてり、性機能障害、抑うつ気分、睡眠障害などの身体的・心理的な症状が出現することが知られています。女性ホルモンの補充療法はほてりを中心とした血管運動神経性の症状に有効であることが報告されています。

一方、男性ではテストステロンの分泌低下が起こり女性の更年期に該当する時期(andropause)があると言われていますが、性機能障害や認知機能低下などの症状は老化に伴うものと鑑別が難しく、現時点で男性更年期を独立した疾患概念とするのは未だ少数意見と考えられています2

また、近年は機能性身体症候群 (functional somatic syndromes:FSS) と呼ばれる疾患概念が提唱されていて、FSSは“適切な診察や検査を行っても一般的な医学的疾患によって説明できない症状”と定義されています3。他覚的な異常を伴わない機能性疾患では心理社会的因子の影響を受けることも多いため、身体疾患と精神疾患の境界が不明瞭ですが、FSSは心因よりも身体愁訴を基にした概念といえます。

FSSでは不安や抑うつとの関連が指摘されています。FSSの症状によるQOLの低下や、長期にわたる症状の継続で医師-患者、家族-患者間の軋轢が生じることなどを通し、不安や抑うつを生じやすくなります。一方で不安や抑うつの存在は、疼痛などの身体症状を増幅して感じさせます。ご質問の方のように身体医学からのアプローチが難しいケースでも、心療内科では全身倦怠感などの身体症状、抑うつ・不安などの精神症状を手掛かりにして患者を評価していくことができます。

睡眠障害には睡眠導入薬、自律神経失調症状には抗不安薬、随伴する抑うつ症状には抗うつ薬の投与が行われますが、男性更年期症状=自律神経失調症(身体表現性障害)=不定愁訴症候群もしくはFSS=セルフコントロールが可能なストレス病 ととらえ、あまり症状にこだわりすぎないようにすることが重要です。

(前川 道隆、芦原 睦)

<参考文献>

  • 1.更年期障害.婦人科疾患の診断・治療・管理.日産婦誌 2009; 61: 283-242.
  • 2.N Samaras, E Frangos, A Foster, PO Lang, D Samaras. Andropause: A review of the definition and treatment. European Geriatric Medicine 2012; 3:368-73.
  • 3.神原 憲治、福永 幹彦.FSSの病態.日本臨床2009; 67(9): 1669-1675.
  • 4.宮岡 等 編、「身体表現性障害」、こころの科学.日本評論社、2013年.
  • 5.芦原 睦.心療内科がわかる本.PHP研究所、2010年.
身体中が痛くてたまりません。ペインクリニックにも行きましたが、改善しません。何か精神的なものなのでしょうか?治療について教えてください。

慢性疼痛と考えられますが、うつ状態の合併の有無が重要です。

疼痛は身体の危険を知らせる重要な感覚ですが、他覚的な異常を伴う場合でも情動や個人の認知の差により症状のとらえ方には大きなばらつきがあります。全身の疼痛を訴える場合には関節痛、筋痛の鑑別を行います。多発関節痛であれば関節リウマチやSLE、ウイルス性関節炎などを、筋肉痛では自己免疫性の多発性筋炎やリウマチ性多発筋痛症などの疾患を疑います。初期の評価や3カ月以上の経過観察をおこなっても診断がつかない全身の痛みでは、“慢性疼痛”として鑑別・治療を考えていくことになります。

慢性疼痛の中には器質的なものに加え、機能的なもの、心因が強く関与するものなど様々な要因がありますが、うつ状態の合併の有無が特に重要です。抑うつ状態に伴う身体症状として疼痛を訴えることは稀ではなく、一方、抑うつ状態になると疼痛を感じる閾値が低下するため疼痛を感じやすくなることが知られています。近年注目されている慢性疼痛の代表的な疾患に線維筋痛症(FM)があります。FMは1990年の米国リウマチ学会の基準では全身18か所にある圧痛点の11か所以上に圧痛を認める場合に診断されます。線維筋痛症では疼痛以外にも慢性的な倦怠感、睡眠障害、機能性胃腸障害などの多様な訴えがみられることもあります。本疾患の背景には強迫性や執着性のパーソナリティが知られており、自分を追い詰めるような行動パターンも多いと考えられます1

一般に慢性疼痛患者の治療は長期に渡ることが多いです。疼痛は主観的な症状であるため周囲の理解を得られにくいです。結果として患者は悲観的な考えを持つことも少なくないため2自殺の危険を伴うこともあり、受容・支持・保証などのカウンセリングマインドが必要です。

薬物療法では鎮痛薬としてNSAIDs、弱オピオイド鎮痛薬から使用しますが、三環系抗うつ薬やSNRIもしばしば用いられます。一般にうつ状態も不安も合併していない慢性疼痛患者ではオピオイド鎮痛薬やプレガバリンなどが用いられますが、いつ薬物を終了できるかという点は今後の課題として残されています。

(前川 道隆、芦原 睦)

<参考文献>

  • 1.村上 正人:心療内科的治療-とくに線維筋痛症に対して-.標準的神経治療:慢性疼痛.
    神経治療 2010; 27: 611-615.
  • 2.宮岡 等 編、「身体表現性障害」、こころの科学.日本評論社、2013年.
  • 3.芦原 睦.心療内科がわかる本.PHP研究所、2010年.
中学3年生の娘です。学校の身体測定で標準より太っていると指摘されてから、どうも食事の後にトイレで吐いているようです。本人に聞いてもそのようなことはしていないと言いますが、頬がこけてきて、体重も減ってきているように思います。一度専門家に診て欲しいのですが、心療内科で診ていただけますか。

この症例は恐らく体重がかなり減少しているので摂食障害(以下、ED)のうちでも神経性食欲不振症(以下、AN)と考えられます。EDの根本はAN、神経性過食症(以下BN)を問わず「やせ願望」「肥満嫌悪」を持つことと考えられます。したがって、「体重増加」につながることはすべて拒否的です。おう吐、下剤の乱用、過度な運動などがみられますが、すべて、やせたいためと考えられます。私の調査では5~6割のEDはおう吐をしていることから、この症例もその可能性が大きいと考えられます。

しかし、家族はそれをとがめることが多いので、本人はしばしば否定をします。これ以外のことでもやせることを邪魔されそうになるとうそをついてでも否定します。しかし、体重が30㎏前後になると生命の危険に直面し、周囲はあわててしまいます。この時厄介なのは大抵の場合、いくら食べることをすすめても、生命の危機を説いても、入院をすすめても全く応じないということです。もし幸い入院した場合は専門医が「行動制限療法」などで対応可能です。実際は入院を絶対にいやがるのが特徴で、私の統計ではANの71%は入院が絶対といやと言っています。

私は多くの重症ANを治療した経験から、この「入院拒否感」を重視し、「入院体重」を設定し、○○㎏以下なら入院という具合に「黒川体重設定療法(以下、KTWT)」を考案し実施しています。この症例のように若年性の重症ANはとくに「入院拒否感」が強くKTWT以外の治療法では不可能と考えます。このKTWTを実施するには患者との微妙なかけひきや親の協力を引き出す努力も不可欠です。

またこの様な症例は心理的のみならず身体的にも肝機能障害、カリュウムやリンの低下、甲状腺や下垂体ホルモンの異常もみられます。したがって、専門医は心身両面から診られる心療内科医であり、しかもこの様な重症ANの経験がある医師でないと難しいでしょう。

さらにその経験も少なくとも3~5例のこの様な重症ANと入院であれ外来であれ患者と死にもの狂いで生命を守る戦いをした経験があることが求められています。しかし、この様な専門医は全国でも極めて少ないのが現状です。

(黒川順夫)

<参考文献>

  • 1.黒川順夫、松島恭子、鎌田 穣ほか:「黒川体重設定療法(KTWT)」について―とくに神経性食欲不振症へのアプローチの仕方およびその治療成績を中心に―日本心療内科学会誌、8(1):15~21、2004
  • 2.黒川順夫、松島恭子、鎌田 穣ほか:「黒川体重設定療法(KTWT)」により改善した重症神経性食欲不振症の1例について―総合病院内科入院の1/5の費用で軽快―、日本心療内科学会誌、6(3):171-175、2002
試験の前や、試合の前になるとお腹が痛くなりトイレに行きたくなります。入試が近いので心配なのですがどうしたらいいでしょうか?

試験前や試合前などに腹痛やトイレに行きたくなるとここぞというときに困ると思います。
「また起こるのでは…」と心配や不安になることもあるかもしれません。

それら症状を慢性的に引き起こすもののひとつに過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome:以下IBS)があります。IBSは大きく分けると、

①お腹の痛みや張りといった便秘の特徴をもつ「便秘型」、

② お腹が痛くなった後に下痢を伴う「下痢型」、

③ 「便秘型」と「下痢型」の両方の特徴をもつ「混合型」、

④ そしてこの3つの型のどれにもあてはまりにくい「分類不能型」の4つに分けることができます。

欧米を中心とした調査では人口の10~25%の人がこの病気で悩んでいるといわれています。

IBSの原因はまだ完全には明らかではありませんが,睡眠不足や不規則な食生活などの生活習慣の乱れや,さまざまなストレスが大きく関与していると考えられています。

IBSの治療は,睡眠や食生活などの生活習慣の見直しや,整腸剤・下痢止めなどの薬物療法だけでなく、ストレスを解消していくためのカウンセリングや自律訓練法といったリラクセーション法などが治療の中心となります。

IBSの症状はゆっくりと改善していくことが多く、改善を体感するまで数ヶ月を要することも珍しくありません。そのため「IBSと上手に付き合っていく」と考えを広げていくことも必要となります。

治療に関してはかかりつけ医や、心療内科や消化器科、胃腸科などを気軽に受診してください。

(緒方 慶三郎 、立部なな恵)

息子が、適応障害という診断を会社の健康管理センターで受けました。本人は身体疾患の不調を主に訴えていますが、心療内科と精神科ではどちらの科を受診すればよいでしょうか?

一般的に学業や職業、家庭生活といった日常生活上の適応に失敗したケースを適応障害と呼びます。ご子息の場合はおそらくは仕事上の様々なストレス因子に心身が反応して、身体の不調を自覚されたものと推察されます。

適応障害は、不安や抑うつといった精神症状として表れる場合もあり、その際は精神科受診が適していると言えます。

しかしながら、ご子息の場合は、ご自身の不調を身体疾患として自覚されているので、この場合は心療内科への受診が望ましいでしょう。心療内科では、まず身体的に必要な検査を行い、ご本人の症状を説明できるような身体疾患の有無を調べます。それと同時に、それまでの経過やこれまでの身体症状に対するご自身の反応などについて詳しくお聴きして、ご子息が職場等でどのようなストレッサーに晒されていて、それに今回どう反応されたかについてご本人と共に確認します。

もし、身体疾患が存在していれば、その治療を行うと同時に、例えば職場でのストレッサーに今後どのように対応して行けばよいかを、医師やあるいは心理士を交えて検討して行きます。一般的なストレス発散法や、緊張が強いときなどには自律訓練法などのリラックス法を修得していただくこともあります。さらに、ご本人の対人関係の持ち方に何か問題があれば、それを修正してストレス状況を産み出さないような接し方を心がけていただきます。また、不安や抑うつが身体症状の発現や経過に関係していると推察される場合においては、必要に応じて抗不安薬や抗うつ薬を処方することもあります。これらの対応をした後に身体症状が改善して行けば、症状発生前のストレッサーが症状と関係していたことを更に認識することが可能となり、ご本人のその後の適応行動にも大きな示唆が得られることが期待されます。

このように心療内科は心身両面を同時に評価し、共に修正して行こうとする診療科ですので、身体疾患を訴えられる適応障害には最も適した診療科ということができます。

(岡田宏基)

糖尿病ですが、摂食障害を併発しました。どのような治療を受けたらいいでしょうか

糖尿病だけでもご負担が大きいと思われますが、さらに、摂食障害も併発されたとのこと、大変ご苦労されていると拝察します。

糖尿病に摂食障害を併発した場合の治療に関しましては、まだ確立されたものはございませんが、糖尿病の担当医に加え、栄養士、看護師、さらには、心療内科医や精神科医を含めた多職種によるチームによるケアが重要であるとされています。

糖尿病の治療に関しましては、最初から完璧なコントロールを目指すのではなく、通常よりも高めの目標をまず定め、段階的にクリアしていく方法が勧められています。これは、低血糖が生じる危険を低くするというメリットもあります。また、インスリンを用いている方の場合には、低血糖による空腹感から過食につながることを避けるために、低血糖を起こしにくいインスリンポンプを使用することもありますし、グルコースタブレットの使用など、過食につながりにくい低血糖時の補食も勧められていますので、糖尿病の担当の医師とよく相談されるのがよいと思います。

そして、摂食障害の治療に関しましては、心療内科医や精神科医などの専門の医師の治療を受けられるのがよいと思います。その場合も、医療者間のコミュニケーションが重要ですので、可能なら同一医療機関で受診されるのが望ましいと思われますが、難しい場合でも情報が共有できるよう、糖尿病と摂食障害の状態の記録をどちらを受診する際にもお持ちいただくのがよいと思います。

(吉内一浩)

生理前になるとイライラや不安になるのですが、心療内科で診ていただけますか?

月経前に「気分が沈む」「不安になる」「足がむくむ」など、いつもとは違う心やからだの不調を感じている人は少なくありません。これは月経前症候群(PMS)といって、軽いものまで含めると7~8割の女性が経験しているといわれています。落ち込んだり、いらいらしたりといった心の症状から、乳房の張りや腰痛といった体の症状、集中力がなくなるといった行動面の症状まで、実にさまざまです。重症の場合には、毎日の生活に支障をきたしたり、人間関係のトラブルを招くこともあります。月経の開始と共に症状が軽くなったり、なくなったりすることから、周りの人には理解されにくいという状況となります。

PMSの原因は十分にわかっていませんが、女性ホルモンの周期的な変動が脳内の神経伝達物質に影響を与えて症状が引き起こされているのではないかいう説が有力です。

PMSに対処するには、毎日自分の心やからだの変化を表に書いて記録することが有効です。このとき月経も記録しておきます。PMSメモリーという一目でわかる形式のものがお勧めです。月経の周期と症状の関係がわかって、はじめてPMSだと理解する人もいますし、わかっただけで症状が軽くなることもあります。自分のからだのサイクルがわかれば、調子の悪い時期はしんどいことを避けることも可能になります。スケジュールを詰め込みすぎたり、何もかも自分で解決しなければと考えたり、些細なことで自分を責めたりすることはできるだけ避けましょう。さらに、ビタミン・ミネラルを十分に取り入れたバランスの良い食事に気をつけ、睡眠を十分にとり、運動も心がけることが大切です。

軽い症状なら以上述べたようなセルフケアだけでもずいぶん楽になりますが、これで不十分な場合は心療内科受診をお勧めします。PMSは環境の変化や心理的ストレスで悪化する場合があります。薬物療法を行ったり、医療者と共に問題を整理し対処法を考えていくことが症状の軽減に役立ちます。

(甲村弘子)

<参考文献>

甲村 弘子:月経前症候群(PMS)に関する知見. 女性心身医学 16:260-263,2012

認知症で精神科にかかっていますが、呼吸器、循環器、消化器などの不調を訴えていますが、心療内科で診て頂けますか?

認知症の方が身体症状を訴えた場合、幾つかの点に留意する必要があります。まず、認知症の重症度です。認知症が軽度から中等度ならば身体症状をほぼ正確に訴えることができるのですが、高度の場合は自分の身体症状を適切に訴えることが難しくなります。高度認知症では言葉によるコミュニケーションをとるのが困難だからです。ただし、高度認知症であっても咳・痰、食欲不振、嘔気・嘔吐、下痢・便秘、頻尿などの兆候や、しかめ面、うめき、頻回のナースコールなどといった不快感を示唆する行動があると身体症状のあることがわかります。また、認知症に伴う行動・心理症状(BPSD)として拒食、過食、不眠、大声だしなどの症状があると、身体疾患がなくても何らかの身体疾患があるのではないかと疑われることもあります。さらに、甲状腺機能低下症、ビタミンB1欠乏症など認知症様症状を来す身体疾患があります。この場合はそれぞれの疾患の身体症状を伴います。

認知症の方の身体症状の評価は必ずしも容易ではありませんし、身体疾患の有無を検査で確かめるにしても患者さんの協力を得られるとは限りません。

さて、心療内科は心身症の患者さんを対象とする内科であります。認知症の方でも環境の変化や様々な心理的ストレスに曝されると身体疾患を発症したり、身体疾患の経過に影響のでることがあります。このような患者さんは心療内科医が診断し、保険適用のある心身医学療法を用いるのがよい場合もありますので精神科の主治医とご相談の上、受診されることをお勧めいたします。ただし、高度認知症では心身医学療法を行うことが難しいでしょう。

なお、精神科に入院している患者さんを内科・外科医が診察・治療にあたると、心疾患、糖尿病、肝硬変、骨折など幾つかの特定の疾患について精神科身体合併症管理加算が保険診療で認められております。

(佐々木大輔)

心療内科で心の病気を診ていただけるのはどのような場合でしょうか。また、心療内科でしていただける心理療法には、どのようなものがありますか?

心身症とは、病気の発症や経過にストレス等の心理社会的な因子が密接に関係し、器質的な障害(例:潰瘍のような、組織の病変)や機能的障害(例:血圧コントロールのような、身体機能の調節の障害)が認められる身体の病気を指しています(日本心身医学会教育研修委員会、1991)。つまり、ストレスや人間関係といった心理社会的な要因が身体の病気の変化に大きな影響を及ぼしており、その治療にあたっても心理社会的要因を考慮しなければならない病気です。ですから、心療内科は「心の病気」を診るというよりも、「心が影響している身体の病気」、つまり、心身症を専門的に見る医療機関だと言えるでしょう。

一方、うつ病などの精神疾患の患者さんもさまざまな身体の症状を訴えますが、精神疾患に伴う身体の症状は心身症とは考えません。「心の病気」と呼ばれる状態が、精神疾患を指しているとすると、それらの治療は精神科が専門に行うことになります。ただし、「精神科」と「心療内科」の両方を同時に看板に掲げている場合には、精神疾患だけではなく、心身症の治療も行っているところがあると思われます。

身体の病気に影響しているストレスや人間関係等の心理社会的要因を明らかにして、それらに働きかけていこうとする治療法は「心身医学療法」と呼ばれていますが、自律訓練法、行動療法・認知行動療法、交流分析という3つの治療法は、心身症治療の基本的な専門的治療法と呼ばれています。また、心理社会的要因の改善を図るためには、治療者と患者さんの良好な治療関係が前提となりますが、心療内科の専門家(医師、心理士他)は、患者さんの訴えをじっくりと聞くことのできる態度や環境への配慮といったカウンセリングの基本を身につけています。この他、森田療法、バイオフィードバック療法、絶食療法といったより専門的な心身医学療法もあります。どのような場合に適用されるかは、心療内科でご確認ください。

(坂野雄二)

<参考文献>

日本心身医学会教育研修委員会(編)「心身医学の新しい診療指針」1991

心療内科での女性受診者の訴えにはどのようものがありますか?

女性特有の身体症状と言えば、やはり月経関連の症状となります。無月経(摂食障害など)や更年期障害、月経前緊張症(月経前に様々な心身の不調をきたし月経が始まると症状が軽減)などです。あとの身体症状については特に男女差はないと思われますので、ここではその背景にある女性患者の悩みで、多いものを紹介いたします。

既婚女性ではまずパートナーさんとの夫婦関係の悩みがあげられます。「亭主関白の夫に長年連れ添ってきたが、自分も年をとってきて家事も負担になるし、もうこれ以上はがまんできない」と積年の思いを訴える方や、最近ではパートナーさんに発達障害があり「コミュケーションがうまくとれない」という方も増えてきております。お姑さんとの関係での悩みも多く見られますが、どれだけパートナーさんが協力してくれるかが重要なポイントです。子育ての悩みもよく聞かれます。子どもさんが不登校であったり、何らかの疾患や障害を持たれているような場合もよくあります。さらに不妊に関する悩みや、出産後の育児ストレスなども女性特有の悩みと言えるでしょう。

未婚女性では、20代では進学や就職などの環境の変化により周囲に適応できないケース、30代~40代では独身でいることの先行きの不安や、キャリアウーマンでは職場でのセクハラやパワハラなどによるストレスの訴えが聞かれます。

既婚・未婚問わず、「親の介護ストレス」も女性受診者の大きな問題と言えます。未婚者の場合は親との関係性が密接で愛着も強く、親が亡くなった後の悲嘆も強い傾向にあります。既婚者の場合は自身の親だけでなく、夫の親の介護ものしかかってくることになり、「自分の親なのに夫が全然協力してくれず私にすべて任せてくる」などの不満も聞かれます。

昔に比べると、女性の社会進出も進み、女性差別も減ってはきているようですが、まだまだ「女性ならではの悩み」というのは数多くありそうです。

(村上典子)

胃・十二指腸潰瘍にストレスが関係していると言われたのですが、心療内科で受診をした方がいいでしょうか?

むずかしい質問です。胃・十二指腸潰瘍がストレスで発症するとはいえません。ヘリコバクターピロリ菌の感染がある場合、危険因子となります。ですから、まずは通常の消化性潰瘍の治療をうけるべきです。プロトンポンプ阻害剤といった制酸剤を中心とした薬物療法と背景に胃粘膜のピロリ菌感染があれば、除菌をすることが重要です。これらは一般内科、消化器内科で受けられるのがよいでしょう。

ですが、もしあなたがそうした治療を受けたうえで、主治医からあなたの胃・十二指腸潰瘍にはストレスが関係していると言われたとしたら、おそらくそれは、形態的に見た胃・十二指腸潰瘍の状態とあなたが訴える胃や十二指腸からの痛み症状が釣り合わない(潰瘍がほとんど治っているのに、強い痛みを訴える)のだと思います。これには、上部消化管の機能異常と刺激への感受性の亢進が関係し、この両者には心身のストレスが関与することも多いからです。

心療内科はこのような病態の治療を専門的に行います。まずは、内科的な薬物治療に加え、食事、睡眠のとりかたなどの生活指導を行います。ここまでは一般内科と大きな違いはありませんが、加えて緊張や疲労の蓄積を自覚する方法や緊張や疲労の緩和法(リラクセーション法)を指導します。さらに必要があれば心理面からの治療を併用しますが、こうしたケースはそう多くはありません。

ですので、あなたが一般内科や消化器内科で胃・十二指腸潰瘍の治療を受けられたうえでも、胃痛などの症状が続いて困られた場合は、心療内科を受診されるのがよいでしょう。

(福永幹彦)

消化器心身症ということばを聞いたのですが、どのような病気でどのような治療をしたらよいでしょうか?

消化器心身症には、二つの考え方があります。第一は心理社会的ストレスで発症あるいは増悪する消化器疾患です。もう一つは、消化器症状がありながら、その原因となりそうな病気が一般的な内視鏡検査や超音波検査、あるいは一般的な血液検査で見つからないものです。後者は、機能性消化管疾患と呼ばれますが、消化器不定愁訴とも呼ばれます。ストレスによる増悪あるいは症状によるストレスのために心理的な問題と言われたりすることがありますが、その違いは後述のように明らかになってきました。

消化性潰瘍(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)は、ストレスによって発症あるいは増悪が顕著で、以前は消化器心身症の代表のように言われていました。しかし、1980年代のピロリ菌研究によって消化性潰瘍におけるストレスの果たす意義の解釈が変わってきました。阪神淡路大震災でも、そして東日本大震災でも、ピロリ菌感染者では消化性潰瘍が悪くなり、潰瘍から出血を起こす患者さんも少なくありませんでした。一方、同じ被災地にいてもピロリ菌非感染者あるいは除菌者では消化性潰瘍を発症する人は極めて少数でした。すなわち、ピロリ菌感染(必ず炎症を伴います)とストレスの両方が揃った時に消化性潰瘍が発症することが判りました。潰瘍性大腸炎やクローン病のような炎症性腸疾患もストレスによって炎症が増悪することが確認されています。治療として、ピロリ菌陽性のストレス誘発潰瘍では除菌、炎症性腸疾患は原疾患の治療を優先し、あわせてストレス軽減の対策を考えます。

機能性消化管疾患の代表には、胃もたれや胃の痛みが慢性的に続く機能性ディスペプシア(機能性胃腸症)と、便秘や下痢のような便通異常があって、腹痛や腹部不快症状を起こす過敏性腸症候群とがあります。いずれもストレスによる症状増悪が特徴的です。いずれの病気でも内視鏡検査では異常がないのに、粘膜組織を採取して顕微鏡で調べると、極めて軽度の炎症があることが判ってきました。治療に際して、これらの病態にみられる炎症への対応策はまだ判らず、ストレスを軽減する治療、そして前者では消化管運動賦活薬、後者では便通異常の調整、過敏性腸症候群の治療薬を用います。

軽度であっても胃や腸に炎症があるところにストレスがかかることで症状が出現したり増悪するものが消化器心身症です。うつ病などの精神神経疾患と大きく異なるのはこの点にあると言ってもいいでしょう。

(本郷道夫)

私には日本で働いているいろいろな国の友人がいますが、そのうちの何人かは食欲がなくなって痩せたり、胃が痛んだり、よく眠れないなどと、元気がなく、心配です。母国語で医師に話したいと希望する友人もいるのですが、外国語で受診できる先生は、どこで探したら良いでしょうか?

日本に滞在されている外国人の方が体調を崩された場合、慣れない環境や医療システムの中でどこに相談したらよいかわからない、自分の状態を十分に伝えたり相手の説明を十分に理解したりできるかわからないと心細い思いをされていることが多いものとお察しします。

外国語で直接診療を受けることができる医療機関を探すには、まずは外国語対応可能なことをウェブサイトで公開している医療機関もありますので、検索サイトなどを使って探したり、医療機関検索ポータルサイトを利用したりすることができると思います。また自治体が案内・検索サービスを提供していることもありますので、お住いの自治体の医療もしくは外国人居住者担当の窓口に問い合わせるのもよいでしょう。

また、受診に当たっては外国語で診療してくれるかどうかだけでなく、どの診療科を受診すべきかについても判断が難しいことがしばしばあると思います。その場合はまず勤務先の産業保健スタッフやかかりつけ医などに、日本語で(もしくは日本語と母国語のわかる方に同伴してもらって)相談し、病態に合わせて、一緒に医療機関を探してもらうとよいと思われます。

(菊地裕絵)

「質問」・40歳代の男性です。身長165㎝体重85㎏と肥満しているせいだと思いますが、日中身体が重だるく、仕事の能率が上がりません。眠気に襲われることもよくあり、困っています。夜は「いびきをかいてよく寝ているわよ!」と家族には言われるのですが…。

体格(肥満度)の指標として、Body mass index(BMI)が用いられることが多く、体重(kg)を身長(m)の2乗で除して計算されます。標準は22とされ、日本人の場合、25以上を肥満と定義されています。身長165cmで体重85kgの場合には、BMIが31.2と肥満の状態にあります。肥満の場合に、よく合併する疾患として「睡眠時無呼吸症候群」があります。これは、主に、睡眠中に気道(口から肺への空気の通り道)がふさがってしまうために、呼吸が止まってしまうことが一晩に何回も生じるため、日中に眠気に襲われてしまう病気です。成人では、高血圧、脳卒中、心筋梗塞につながる危険性が指摘されていて、適切な治療が必要です。まずは、睡眠時無呼吸症候群であるかどうかの検査が必要ですので、お近くの内科や睡眠専門の医療機関を受診されることをお勧めします。

(吉内一浩)

30歳代の女性です。幼い時からひどい頭痛がよく起きます。原因はストレスではないかと思い、ストレス発散をしようと思っても、上手くできません。夜眠れないことや胸が痛くなることもあります。何とかしたいと思っているのですが・・・。

幼少時からの頭痛ということで、最近急に現れたものではなさそうですので、脳や頭の中に何らかの明らかな原因がある訳ではない「一次性頭痛」の可能性が高いと思われますが、一度、近くの内科や神経内科、脳外科で、検査の必要性を判断してもらうことをお勧めします。その上で、「一次性頭痛」の可能性が高いということでしたら、一次性頭痛の代表的なものである「緊張型頭痛」か「片頭痛」か、どちらであるかの見極めが重要となります。片頭痛は、片側だけの痛みのことが多く、痛みの性状は「ズキンズキン」という表現を用いられることが多く、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。また、普段気にならない音がうるさく感じたり、普段よりも眩しく感じたりすることや、日常生活動作で痛みが強くなることもあります。さらに、頭痛の前に、チカチカと光るフラッシュのようなものが見える場合もあります。これらの一次性頭痛は、ストレスによって誘発されることがあることも知られていて、代表的な「心身症」(ストレスに影響を受ける身体疾患の総称)の一つです。ストレスに関しては、ご自身で対処できない場合、心身症の専門家である心療内科を受診し、相談されることをお勧めします。

(吉内一浩)

親の介護によるストレスのせいか、24時間急き立てられている感じでイライラし、よく眠れず、疲れが取れずまいってしまっています。心療内科で相談できますか?

日本人成人の約21%が不眠の訴えを持っていて、不眠で悩んでいる人が医療機関を受診するのはその中の45%に過ぎないといわれております。不眠に悩んだときに医療機関を受診するとしてもどこの科にいけばよいかわからないものです。睡眠外来を開いている医療機関もありますが多くはありません。ところで、睡眠不足は生活習慣病の発症リスクを高めるといわれております。睡眠障害のない人と比較すると、糖尿病は3倍、高血圧は3.9倍、心筋梗塞は1.3倍の発症リスクがあります。心療内科は心身症を診ますが、生活習慣病の多くは心身症としての対応が必要であります。また、心身症の代表的な疾患の機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群、慢性疼痛、自律神経失調症などでも不眠を伴う場合があります。

介護ストレスがあってイライラするとのことですが、上記のように心療内科では不眠で悩んでいて身体疾患や身体症状のある方の相談に広く応じておりますので受診なさってみてください。不眠のみで身体疾患や身体症状のないいわゆる不眠症の方は、不眠症を専門にする精神科を受診なさってください。

医療機関を受診する際に医師に伝えておいたほうがよい点が幾つかあります。不眠はタイプによって対応が異なります。寝つきが悪い(入眠困難)、途中で何度も目が覚める(中途覚醒)、早朝に目が覚める(早朝覚醒)、あるいは休息感が伴わない(熟眠障害)なのかを確かめておきましょう。また、不眠があると、眠れた時間は数時間しかなかったなどと訴えますが、眠れないでいた時間を補おうと、早寝遅起きとなり、8時間以上も寝床に入っている人もいます。何時に床についているか、何時に床から離れているかも大事です。

不眠の治療ですが、最近は鎮静作用によらない薬剤や、必要に応じて心理療法の認知行動療法も行われています。睡眠薬の依存が気になる方は心理療法についても医療機関でお尋ねになってみることをお勧めします。

(佐々木大輔)

自宅での食事はできますが、外食や人前で食事をしようとすると胃がむかむかし、吐き気がして食べられません。大学では学生相談室のフリースペースで、一人で昼ごはんを少しだけ食べていますが、社会人になったらこれでは困ると思います。どこで相談したらよいでしょうか。

人前で食事をしようとすると吐き気がして食事ができないのは、いつ頃からでしょうか。みんなで食事をした時に何か恥ずかしい思いをしたり、いやな経験をしたりしたことはありませんか。社会人になると、他人とコミュニケーションを取る上で一緒に食事をとる機会も多くなりますので、そのことを考えると逆に不安が強くなってしまうのではないでしょうか。

原因としては、いろいろなことが考えられます。自宅での食事はできるということですが、食事をしていて、少しの食事量でも胃もたれがしたり、時々胃が痛くなったりすることはないでしょうか。症状を繰り返しているようでしたら、一度、胃カメラなどの検査を受けることを勧めます。検査で器質的な異常がない場合には、消化管の機能的異常が原因の機能性ディスペプシアという病気が考えられます。症状を繰り返すうちに、会食や食事をすること自体にネガティブになり、症状が難治化する場合もあります。また心理的な要因で症状が増悪することがあり、不安や抑うつなどの心理的問題と身体症状がお互いに影響しあっています。治療としては、適切な内服薬、および、病気の原因を理解してもらい、症状と認知(症状に対する考え方)についてのアプローチを行う認知行動療法などが有効で、心療内科で治療を行います。

人前で食事をする時に、胃がむかついたり、吐き気がしたりするということですが、自宅や家族だけで食事する時にはほとんど何ともないのに、外食や知人・友人とは食べることが出来ない状態は「会食不能症候群」と呼ばれます。また、自宅では他人と話をする時に緊張しすぎてうまく話せなかったり、人前に出ると、他人の視線が気になりすぎて、逃げだしたくなったりする場合には、社交不安症という病気が疑われます。重症化すると、講義を受講できなくなって不登校の原因となったりします。早い段階での治療が必要で、適切な治療で改善する疾患です。また、幼少期から、他人と一緒に遊んだり、友人を作るのが苦手な方の中には、自閉症スペクトラム症の方もいます。社交不安症や自閉症スペクトラム症では、精神科での治療が必要な場合が多いです。まずは、学生相談室や保健管理センターへの相談をお勧めします。

(佐藤研)

授業中やアルバイトのデスクワーク中に寝てしまうことが多く、治したいです。好きな映画や舞台を見に行った時にも寝てしまうこともあり、一緒に行った彼に呆れられてしまいました。心療内科で診てもらえるでしょうか。

文面からお若い女性の方と思われます。いろいろな場面で眠ってしまい、日常生活でさぞお困りのことと思います。日中の本来は活動している時間帯に強い眠気を催してしまうこと、これは「過眠症」と言えるでしょう。

過眠症の原因は多岐に渡っておりますが、診断のためにもっとも重要なのはご本人からの問診です。主なものを挙げると、いつ頃からそのような眠気が出てきたのか、普段の睡眠時間は何時間くらいで平日と週末とで異なっているか、眠くなるようになった時期にきっかけとなることはあったか、現在何らかの薬をのんでいないか、治療中の病気はあるか、夜に途中で目を覚ますことがあるか、などです。

過眠の最も多い原因は睡眠時間不足と言われています。残業が多くて帰宅時間が遅くなったり、娯楽のために夜の時間を使ったり、スマートフォンの普及などにより、昔よりも布団に入る時刻が確実に遅くなっています。また、交代勤務などの生活リズムがずれてしまうことも過眠症の一因となります。これらの中に当てはまる生活スタイルがありますでしょうか。また身体の病気や精神的な病気によっても眠気をきたす場合がありますし、夜間に尿意を催して目を覚ましてしまう過活動膀胱や男性では前立腺肥大症なども睡眠が妨げられて日中の眠気の原因となります。眠気を催す薬剤としては、睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬などのほか風邪薬、解熱鎮痛剤、咳止め薬、抗アレルギー薬などもあります。

これらに当てはまらない場合には、睡眠中に呼吸が止まることを繰り返す睡眠時無呼吸症候群やナルコレプシー、特発性過眠症などが考えられます。睡眠時無呼吸症候群は睡眠中にいびきをかく、呼吸が止まっているなどとパートナーから言われたことがきっかけでわかることがあります。ナルコレプシーでは注意や集中を要する場面でも居眠りを繰り返し、短時間の仮眠でもリフレッシュ感があることが特徴です。笑った時や感動した時に脱力を感じることもあり、また金縛りや寝る時の幻覚が起こりやすいとも言われます。これに対して特発性過眠症では昼間の眠りは長くて4時間にもなり居眠り後の爽快感が乏しいという特徴があります。

前述したような問診からある程度は原因を見つけることが可能であり、その原因を取り除いて効果をみることができます。しかし、これのみで改善せず、また複数の原因が絡んでいるような場合には、終夜睡眠ポリグラフ検査や反復睡眠潜時検査などの専門的検査が必要となります。

さて、お尋ねの心療内科でみてもらえるかということへの回答ですが、過眠症の診断を系統的に行い、終夜睡眠ポリグラフ検査や反復睡眠潜時検査が可能な医療機関は限られています。心療内科というよりも、日本睡眠学会が認定しているような医療機関が宜しいのではないかと思います。インターネットで調べてみれば掲載しています。但し、原因に生活習慣が大いに関連しているような場合には、その治療は心療内科が適しているかもしれません。

(千葉太郎)

 

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