現代の日本社会は、政治経済社会の不安定、国際化、情報化、対人関係の厳しさ、少子高齢化、などにより、ストレスがますます増加しています。平成23年3月11日の東日本大震災および福島原発の放射能問題が大きな影響を及ぼしています。
医療については、現在、日本で増加している病気として、1)糖尿病、冠動脈疾患、がん、高血圧、脳卒中、肥満などの生活習慣病、2)動脈硬化、肺気腫、気管支炎などの老人病、3)うつ病、不安障害、適応障害、心身症等のストレス病があげられます。
現代医療の課題とニーズとしては、次のようなものがあります。
1)長寿社会であるがQOLは低い→全人的医療への期待
2)医療費の高騰→予防医療の充実
3)身体医学・西洋医学のみの限界→統合医療への期待
4)患者の意識の高まり→自分による治療法の選択
このような中で、心療内科の専門性は、1)心身相関の病態を詳細に把握し、いくつかの心理療法に習熟しており、心身両面の治療ができる内科医、 2)生理・心理・社会・実存的側面からの全人的医療ができることです。
心療内科の発展は診療・教育・研究において進歩していくことが必要です。
診療では単に典型的な心身症にとどまらず、プライマリケア、緩和ケアの分野でも積極的に行うことです。また、他診療科や医療関係者との連携やチーム医療が重要です。さらに、進歩している新しい知識と技術を取り入れると共に、新しい治療法の開発に取り組むことです。
教育では全国の大学の医学教育カリキュラムに取り入れるようにすることや若者に魅力ある教育、研修を確立し、多くの優秀な良き医療人を輩出することです。
研究では1)心身相関についての生体レベルから、 組織、細胞、遺伝子レベルの研究、2)環境(内的・外的ストレス)と生体との相互関係、3)精神・神経・内分泌・免疫関連、4)過敏性腸症候群、気管支喘息、糖尿病、疼痛性障害、摂食障害などの典型的な心身相関の臨床研究、などを推進することです。