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Chapter 3 心療内科に携わる皆さまへ 心療内科に携わる皆さまとともに

ハンス・カロッサは20世紀のゲーテといわれるドイツを代表する詩人、作家で、患者さんに慕われた開業医でもありました。教養部2年の時、彼の小説「ドクトル・ビュルゲルの運命」との出会いが心療内科医としての私の出発点です。

人間的な感情と良心を過剰にもった若き医師ビュルゲルの次の言葉に心を揺さぶられました。「私自身は――ああ、一日はまた一日と、自分が単純な医師としての天職を与えられていることを知ります。(中略)患者にしてもただ六番とか七番とか番号がうたれて、丁寧に記された臨床上の鑑定や体温表とともに私の前に横たわっているような患者などでは、どうしても助けてやろう、自分を賭してやろうというあの気高い好奇心を、私の心中に呼びさますことはできないでしょう。人間を確かめずに、ただ内臓だけを癒すなどということは、私には決して決してできないでしょう。…」。

こんな医師になりたい、どのような科を選べばよいのか、と悩んでいたとき父がわたしてくれた本が、後に私の恩師となる池見酉次郎先生(故人、初代九州大学心療内科教授)の「愛なくば」(光文社)でした。

43歳に関連病院へ消化器内科医として1年間赴任した時のことです。久々に消化器三昧の楽しい毎日でしたが、4か月ほど経った頃から診療が惰性になり充実感がなくなりました。ある日、病院から帰宅した際、妻に、「あなた、今日はいきいきしていて目が輝いているわね。何があったのですか」と尋ねられました。赴任後初めて、心療内科医としての私に紹介された患者さんの診療に当たった日だったのです。その時、気がついたのです。私は「臓器医者」になっていたのです。心療内科医として生きてゆくことの素晴らしさ、もうこの道しかないと感じた一瞬でした。

医師になり41年が経ちました。今も毎日が喜びです。年を重ねる毎に充実感が増してきます。深く豊かな眼差しが患者さんたちにより育てられてきました。まだまだですが。

私にとって「心療内科即人生」です。

中井 吉英/元 関西医科大学心療内科 教授/現 西京都病院名誉院長・心療内科部長
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